| 悪徳行動研究会 |
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『悪知恵マニュアル』 （DATAHOUSE BOOK ２００３年５月刊） |
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●前置きえー、このところ軽い読み物の感想が続いておりまして。まあそんな時期もあるんすよ、ということでご理解をいただきたいと思います。 で、あらかじめ言っておきたいと思うんですが、この本の感想については、あんまりたいしたことを書くつもりがない、といいますか、まあぶっちゃけ読んでも読まなくてもどっちでもいいような感想になるだろうな、と書く前から思っておりますので、ついでにご了承ください。前置き終わり。 ●意外とロングセラーで、この本ですが、意外と息の長い本ですね。１９９５年に最初の版が刊行されてじわじわ売れたらしいです。その後２００３年にＤＡＴＡＨＯＵＳＥ ＢＯＯＫシリーズとして加筆修正の上で再発行。２００５年、ほぼ２年越しとなる第２刷が出て、僕が持ってるのはこの第２刷です。 版元であるデータハウスについて詳しく知っているわけじゃないですが、サブカル系の出版社としては、まあ中堅どころくらいにあたるんじゃないでしょうか。とはいえ、日本の出版社というのは一部の超大手以外はどんぐりの背比べというところが多分にあるわけで、多分この本にしたって、初刷でそうたくさんの部数を刷ったわけではないでしょう。だからトータルの部数でそれほどたくさん売り上げてるわけではないだろうけれど、それでも第２刷が出てるというのは、売り上げが完全に止まってしまうということのないロングセラー型の売れ方をしているんだろうと思います。 どういう人が買ってるのかよくわからないところはありますけどね。僕みたいな暇人か、あるいは実用書としてこれを使ってしまう人というのがあるていどいるのか。 ●使える悪知恵はあるのか紹介されている「悪知恵」は、デカいところでは保険金詐欺から小さいところは無銭飲食、施設のタダ利用まで。といっても、まあどちらかというと「小さいところ」寄りですな。しかも、結構な手間暇かけて、タクシーの乗り逃げとか、クレームつけて商品を安くたたくとか、無銭飲食とか。 ぶっちゃけ、ものすごくお金に困ったとしても、僕だったらやらないだろうなあ、というたぐいの物が多いです。 ひどいの…ひどいって言っちゃいけないか、効率対収益の薄いのになると、切手の表面に蝋を塗って使用すると消印が蝋にしかつかないから水でふけば何度でも使用可能とか…。やりたいと思います？ ロウソク買ってきて、せっせと切手の表面に塗りたくって、再利用するときには消印をぬぐい取って乾かして…。それで１回あたり定型の一般的な郵便なら８０円っすよ。 たとえば僕もたしなむパチスロだと、１ゲームあたり６０円です。ベットボタン押して、ぺんっとレバーたたいて、何も役が揃わなかったら６０円。この間２秒くらいですよ。そう考えると、あたしゃ８０円のためにそんな苦労したくないわよ、と思っちゃう。 だからさっき「実用書としてこれを使ってしまう人」もいるのかね、って書きましたが、切手のは極端な例にせよ、あんまり実用書としては使えないんじゃないか、という気がします。ネタにもよるかもしれないけど、多分この本はあんまり実用的ではない。 そらまそうです。だってこの本、税抜き価格１４００円ですもん。こういう裏情報みたいなのにしたところで、情報産業のルールからは逸脱しておりません。というか裏情報だからこそ逸脱しないという部分も大きいかと思いますが、やっぱり手軽だったり安全性が高かったり効果が大きかったり、何より大事な点ですが世間にあんまり知られていない情報というのは、それだけ価値が高いわけです。そういう情報を手に入れるには、やっぱりそれなりの金額が必要になったり、それに加えてコネも必要になってくることが多い。１４００円で買おうったって無理です。そらねえ、犯罪の種類によっちゃ教唆したとして情報元も罪に問われるわけですから当然といえば当然でしょう。 だからこうして一般書籍として表に出てくるような情報というのは、手間の割に儲けが少なかったり、実際にやるには危険が大きかったりで、基本的に「使える」情報ではないわけですよ。 まあそれでもあえてやってみよう、という人を止めはしませんが、そこは自己責任の世界でしょう。バレてつかまっても本書に怒るのは筋が違う。それよりは、へえこんな世界もあるのねえ、とハナクソでもほじりながら娯楽情報として楽しむのが正しいと思います。 だいたい、詐欺だ強請だってのは頭脳犯罪ですから。マニュアル本読んで、そのやり方をそのまま実践するような人には向いてないと言うべきでしょう。せめて自分なりのアレンジを加えるくらいのことはしていただきたい。 で、ちなみに娯楽情報としての本書の出来は、というと、まあ楽しめなくはないけどもうひとひねり欲しいなあというところでしょうか。 手口別に細かく分かれてるんですけど、結構やりっぱなしというか、文章がとっちらかっちゃってるところは多いんじゃないかなあと。あと若干露悪趣味みたいなところが鼻につきましたが、まあこれはしょうがないところかもしれません。 (2006.7.18) |
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